2020年2月24日、群馬県川場村(かわばむら)にある武尊山(ほたかやま)に登ってきました。
2月22日~23日の3連休に南アルプスの仙丈ケ岳、北アルプスの遠見尾根へ行こうかと思ってましたが、22日は大荒れ、23日は西高東低の冬型の気圧配置で天候のサイクルに恵まれなかったので、24日に日帰り登山の計画へ変更。
せっかくの3連休でもあったので、道中観光でもしながら、雪のありそうな山で思い浮かんだのが、上州武尊山、日光白根山の2座。
今年は武尊山の剣ヶ峰の標高と同じ2020年であること、剣ヶ峰の細い稜線を越え、最高峰の沖武尊への雪の稜線を縦走するルートは一度は歩いてみたいと思っていたので、第一候補は上州武尊山、第二候補として日光白根山へ登ることに決定。
そんな上州武尊山は剣ヶ峰の尖った山容から沖武尊まで続く縦走路に谷川岳から巻機山までの雪の稜線の景色が素晴らしい山でした。
上州武尊山のルート
冬の上州武尊山は川場スキー場のリフトを使えば、標高1850m近くまでアクセスすることができ、2020mの剣ヶ峰を越え、最高峰2158mの沖武尊へ。
ただ降雪直後だとラッセルに時間を取られること、剣ヶ峰などの細い稜線と降りなど注意したい場所もある。
また風が強いには、ゴーグルをザックに入れておくといと思います。
カメラの故障、落とし物のための登り返しと時間をかけましたが、今回のルート、コースタイムはYAMAPを参照。
2020年2月23日 群馬県沼田市前夜入り 馬鹿旨のトマトラーメン
前日の23日には、群馬県沼田市に到着し、馬鹿旨という中華料理屋で順番待ちをしていると、雪が降ってきた。
周りのスキーヤーの車には雪が積もっており、雪不足の今シーズンだけど、明日の武尊山には期待ができそう。
こちらが馬鹿旨のトマトラーメン。(50分待ちだったよ。)
トマトをフワフワの玉子でとじたラーメンで、トマトの甘みが広がるスープなのに、コンソメではなく、どことなく感じる中華風の風味は初めての体験。
チャーハンもおいしいと聞いていたけれど、直前でごはんものは完売だったので、餃子を注文。
餃子はニンニクが効いたパンチのある味だった。
今度はぜひ坦々トマトラーメンとチャーハンを食べに行こう。
てんくら(天気と暮らす)の予報によると晴れるけれど、風が15~20mと強風に悩まされそう。
スキー場のリフトが止まることにならなければいいけど。
SCW、GPVで天気予報を確認すると、8時ぐらいまでスキー場あたりまで雲がかかっており、10時ぐらいには青空が広がりそうな予感。(十字の中心が武尊山)
そのあとは雲も日本海側に抜けてしまうようなので、明日はのんびりと歩くことにします。
川場スキー場に一番近い道の駅で仮眠し、翌日の登山に備える。
土日祝であれば、深夜1時からスキー場の立体駐車場に十停めることができるようなので、その時間まで待機するのもいいかもしれません。
2020年2月24日 冬の上州武尊山登山
午前6時過ぎに起床し、午前7時前には川場スキー場の立体駐車場に到着。
7時半からリフト券販売、8時からリフト運転開始となっており、7時30分ぴったりに並ぶと、もうこの行列。
川場スキー場では①スキー場専用の登山届提出、②ココヘリの装着が義務化されている。
ココヘリを持っていない人はレンタルすることもでき、登山届とココヘリのレンタル用紙を記入してから並ぶとスムーズに受付することができます。
ココヘリを持っている人はココヘリの現物確認があるので、ココヘリを持って並ぶことを忘れずに。
また登山届を事前に印刷し書いておくと待ち時間短縮できます。
ココヘリ装着が義務化されているスキー場は初めてだったけれど、これから川場スキー場のように義務化を義務付ける場所も増えていきそうな気がする。
コース外での登山者やバックカントリーの活動に対し配慮しないといけないこと、コース外での事故が増えてきてることを考えると、スキー場も安全面、事故対策に苦労しているんだろうなと感じ、頭があがらない。
7時50分からスキー場リフトに並び始める。
登山者は左側のリフトに乗るようで、並びながらゲイターなど登る用意を済ませていく。
今日は強風予報なので、3枚目の上下はドラウトポリゴン3と厳冬期使用にザックの上にはゴーグルを準備。
リフトを2つ乗り継ぎ、標高1848m地点に到着。
アイゼンを履くか、ワカンを履くか、またストックを持つか、ピッケルを持つか迷ったけど、アイゼンにピッケル装備で行くことにした。
まだ雲の中にいますが、青空も時々見え、10時ぐらいから晴れるという予報も当たりそうな予感。
ファーストトレースに続いて、セカンドトレースを踏みしめていく。
脛ぐらいの深さまで雪があり、吹き溜まりでは膝ぐらいまで沈んでしまう。
剣ヶ峰に向けて、あの岩の急登を登っていくことを考えるとアイゼン、ピッケル装備で良かった。
風もだいぶ強く吹いており、トレースもすぐ埋まっていく。
後ろを振り返ると昨年登った赤城山がはっきり見える。。
去年の2月にこの武尊山に登る予定だったけど、天候が悪く、赤城山に登りに行きました。
赤城山のことを思い出したり、前橋、高崎から見た赤城山は黒かったので、今年は雪がないのかなと考えながら登る。
アイゼン、ピッケルじゃないとこの降りは怖いなと思いながら登っていく。
トレースも埋まっており、最初の取りつきでマジでこの急登を登っていくのか、と地図を確認するもやっぱりそのルートで戸惑った。
灰色の雲に覆われてましたが、剣ヶ峰の方から青空が広がってきた。
このあたりから雪と青空のコントラストに目を奪われ、歩くスピードが落ちていく。
剣ヶ峰の登りの手前で、ところどころ岩が露出した沖武尊(武尊山)、そのどっしりと横に広がる山容に人を寄せつけないようないかつさを感じ、胸が高鳴る。
9時の時点で剣ヶ峰が晴れてきてることからもやっぱり10時ごろには山頂も晴れるんじゃないかと思えてきた。
ただ風が強くなってきたので、ニット帽を外し、バラクラバにハードシェルのフードを被る。
剣ヶ峰の前には祠があり、頂上に立てることと無事に下山できることをお祈り。
武尊山も修験の山でもあると、深田久弥の日本百名山と書いてあった気がする。
だからこそ、夏でも剣ヶ峰の頂上を通っていくルートなんだと思った。
山頂は思ったよりも広いけど、ただ風が強いので、すぐに耐風姿勢をとれるようにする。
山頂からの下降点で渋滞しているようで、2020年に標高2020mの剣ヶ峰で渋滞待ち。
下降点では岩が露出しており、慎重に三点支持で降りていく。
年末年始山行で北岳の八本歯ノ頭の岩場で鍛えられたのか、すんなりと行けた。
今年は雪が少なく露出してたけど、いつも通りの冬ならどんな降りになるんだろうか、と考えたりもしながら進む。
ふいに振り返った時に見えた雪煙を巻く剣ヶ峰がとても格好良い!!
風が強い時ならではの光景で、たまにはこういう日に登ってみるのも楽しいと感じた瞬間でもありました。
最高峰の沖武尊(武尊山)にすっかりと広がった青空を眺め、アップダウンを繰り返しながら、進んでいく。
左斜面は木々が真っ白に染まっており、もうちょっと先で樹氷も楽しめそうだ。
樹氷も見事に出来上がっており、まるで鳥のような樹氷も見つけたり。
樹氷を愛でながら、剣ヶ峰と沖武尊のコルを目指し、稜線を歩いていく。
剣ヶ峰と沖武尊のコルに到着。
ここから目の前の偽ピークに沖武尊がどっしり構えているのが見え、30分以上はかかりそうな予感。
武尊山360度写真
いよいよここまで来ると、沖武尊のピラミダルな山容が目の前に。
左の西側からの風が強いものの、山頂に向かうときには西を背にするため、苦も無く登っていくことができる。
もう山頂も間近で足取りも軽やかになってきた。
標高2158m沖武尊(武尊山)に登頂。
風がめちゃ強く、時々煽られそうな風も吹きつけてくる。
沖武尊からの景色はこれから登ってみたい山、天候が悪く登れなかった山、また登ったことがある山もきれいに見え、最高!!
武尊山山頂360度写真
右の燧ケ岳、左手前の至仏岳、その山の間に形成される尾瀬ヶ原。
南アルプス白峰三山縦走をはじめ、いろんな山で出会った方たちがおすすめしていた山域で、南アルプスの光岳で日本百名山を達成された方は60歳になるまでは尾瀬が好きで四季それぞれ通い詰めていて、日本百名山を登り始めたのは60歳になってからとおっしゃっていたり。
確かに残雪期の春も水芭蕉と池塘の夏、紅葉の秋、静かな冬とそれぞれ訪れてみたいけど、次のGWに登る予定。
左奥の平らな山は平ヶ岳。
2018年の秋に登る予定だったけれど、台風で見事に計画が流れた山です。
2020年の秋は平ヶ岳か、越後三山のどちらにするか、迷っている。
中ノ岳、前武尊山の左手に見える白い山は日光白根山で関東最高峰の山。
今日は見えないけれど、奥日光で日光白根山の向かいにある男体山に登ったのが2019年8月。
ちょうど登拝大祭で1年間に1週間だけ夜に男体山に登ることが許され、山頂でご来光を迎えるお祭りに参加し、富士山と中禅寺湖にかかる影男体山の景色を思い出したり。
(また3泊4日飯豊山縦走を終えた日に連続で男体山に登り、つらかったこともあり、印象深い山w)
一ノ倉沢と谷川岳の姿もはっきりと見える。
去年の2月に赤城山の翌日に登り、山頂付近でちょっと青空が見れただけなので、また登りに行きたい山。
無雪期には千ノ倉山へと縦走してみたい。
1番のご褒美は2019年5月に縦走した上越国境稜線の白毛門から巻機山の稜線がビシッと見えたこと。
左の白毛門の登りでヒヤヒヤし、笠ヶ岳、朝日岳を縦走し、ジャンクションピークを尾根沿いに下降。
雪壁を登り、柄沢岳を越え、巻機山へ…と左から右まであんな惚れ惚れする雪の稜線を縦走したことが誇らしくなった。
パッとしなかった朝日岳もここから見ると二百名山に選ばれてるのも納得できる山容で、右手の柄沢岳も標高1900mにも関わらず一際高く見える。
山頂の景色をたっぷり楽しんだのでそろそろ下山。
下山時に真正面に広がる谷川岳から巻機山までの稜線が見え、ウキウキ気分で降っていく。
次は剣ヶ峰を正面に歩いていく途中でザックのサーモスに手を伸ばすと、、あれっ、ない!!
ザックを降ろし、再度確認するもやっぱりない。
落としたと考えられるのは山頂直下で尻セードで滑って時にしか考えられないので、登り返し。
予想通り、尻セードした場所で発見。
かなり時間を食ったのは痛手だけれど、雪山にはサーモスが欠かせないので見つけることができてよかった。
6000円もするので買い直すのも気が引けるので…。
沖武尊に登るときには気づかなかったけれど、剣ヶ峰もいろんな姿を見せてくれ、目を惹く存在だった。
下山中、楽しませてくれた景色たちともいよいよお別れ。
名残惜しいけれど、ここから自宅まで6時間かかるので、もうのんびりしていられない。
この武尊山の山々ともいよいよお別れ。
左から剣ヶ峰、沖武尊、中ノ岳、前武尊、不動岳と個性的な山が集まって武尊山はとても楽しかった。
ちょうど1年前から群馬県や栃木県に遠征し、このあたりの山の形と名前が一致するようになってきたことが分かったのも今回の収穫。
次は山頂で見た尾瀬にぜひ登ろう。
雪山じゃなかったら、ここから5.3キロもまだ道があることに慄く。
ここで今回の武尊山登山は終了。
麓の川場田園プラザで買い物やお昼ごはん、お風呂などを済ませ、愛知県へ帰宅。
圏央道が混んでいたので、上信越、白樺湖越え、中央道で愛知県まで無事に帰ることができました。
まとめ
リフトで標高を稼ぐことができ、ルートの大半を雪の稜線歩きで楽しむことができるのはこの武尊山ぐらいじゃないのかな。
谷川岳も唐松岳も乗鞍岳もリフトを使っても稜線までは歩かないといけないのと比較すると多少のアップダウンはあるものの、稜線歩き、樹氷、展望といろんな楽しみ方があり、また登りに来たくなる山でした。
ただ問題は愛知県からだと遠いこと。
次登る時にはぜひモフモフの新雪をスノーシューやワカンで踏み分けていきたい。
コメント