2020年3月7日(土)、長野県、山梨県に跨る八ヶ岳・赤岳に登ってきました。
冬の八ヶ岳と言えば、冬山をやっている人にとって憧れの山の一座。
直前の3月5日(木)に降雪があり、3月7日(土)の天候が晴れ、風が弱い予報が出ていたので、八ヶ岳・赤岳の登山計画に決定。
赤岳への道のりは気の抜けない場所の連続でしたが、快晴、無風の天候のもと歩くことができ、阿弥陀岳をはじめとして夏とは違った迫力のある姿を目にすることもできました。
八ヶ岳・赤岳のルート
今回は赤岳山荘から南沢ルートで行者小屋へ。
行者小屋からは、地蔵尾根から登り、文三郎尾根で下山するルート。
行者小屋から先は気の抜けない場所の連続で地蔵尾根は急登、細いリッジ、文三郎尾根はいやらしい岩場があり、どちらを選択しても難しい場所が控えてます。
この日は私と逆ルートの文三郎尾根から登り、地蔵尾根から降りる登山者が多かったです。
また南沢ルートの登山道がアイスバーン状態になっているところが厄介。
チェーンスパイクを携帯することをオススメします。
詳細はYAMAPをご参照ください。
2020年3月7日 八ヶ岳・赤岳登山
美濃戸林道を走り、赤岳山荘から登山スタート。
2日前に降雪があったものの、Twitterの情報でアイスバーンの箇所がないことは確認できていたので、スタッドレス、四駆で赤岳山荘まで走ることができました。
ただ6時起床、6時30分スタートの予定が目を覚ましたら8時34分…
スマホのアラームにも気が付かないとはよっぽど疲れが溜まってたんだな~、と考えたりしながら、冬靴やゲイターを履き、パンを咥えながら出発。
南沢ルートから行者小屋を目指す。
北沢と南沢の分岐から100mもしないところで真白な雪景色に変わる。
木の根や石でただでさえ歩きにくいのに、地面が凍ってる。
降るときにはアイゼン着けないと転けそう。
標高2000mも超えたあたりで積雪量も増えてきて、歩きやすくなってくる。
行者小屋まであと10分ぐらいのところでいきなり大同心などの八ヶ岳の岩峰が目の前に現れる。
南八ヶ岳は心が和む苔むす森と迫力のある険しい岩峰という2つの特徴が印象的な山。
森の中からチラッチラッと岩が見え、視界が開けた場所で屏風のように広がるその姿には毎回、興奮させられる。
スタートから2時間ほぼ予想通りに行者小屋へ到着。
菓子パンと白湯を片手に長めの休憩を取り、ストックからピッケルへ、ヘルメットを被り、準備を済ませていく。
文三郎尾根を行く4名パーティが「ここからはスピードより正確に一歩一歩登ることを意識しよう」等話し合っているのを耳にすると、こちらの気も引き締まってくる。
今回は地蔵尾根からスタート。
斜度がきつくなってきたのでアイゼンを履く。
山頂鵜から下山してくる方に稜線上の気候について聞いてみると、「風が吹いてなくて、春山みたいな気候ですよ。」、「ハードシェルは逆に暑いかも」とのことで、アドバイスを参考にソフトシェルに手袋2枚の装備で登ることにしました。
ここから核心部が始まる。
中途半端に埋まっている階段はアイゼンではとても登りにくく、鉄柵、ピッケルも駆使して、慎重に登っていく。
階段を登りきると、ほっと一息つくことができる緩い登りで安堵する。
そんな森の中で後ろを振り向くと…
阿弥陀岳の姿がかっこいい!!
冬の阿弥陀岳は、白い雪のおかげで荒々しい黒い岩の存在が増しており、秋に見た時よりその険しさが伝わってくる。
ここから稜線までは急登の連続。
カラビナやスリングを付けた人が尻セードで結構なスピードを出して滑っていくけど、この斜面では真似できないって思った。
最初の階段以降は怖いと感じる場所もなく、アイゼンやピッケル、露出した岩を頼りに地に足をつけ、少しずつ標高をあげていく。
振り返ると行者小屋や八ヶ岳の森がこんなに小さく見える場所まで来ていた。
ここから先の2~3mほど、幅20~30センチしかない平均台みたいなナイフリッジが地蔵岳で一番危険に感じた場所。
でもここを越えれば、目の前に見える岩場あたりはもう稜線。
稜線に着き、お地蔵さんへお参り。
お地蔵さんの周りの雪はほぼなくなっており、今年は暖冬で雪不足なんだなと感じた瞬間でもあった。
目の前の赤岳展望山荘付近で休憩を取り、赤岳を目指す。
山荘より先で脆い岩場の急登が冬の赤岳で不安に感じていた場所の1つだけど、トレースや下山してくる人たちを見ている限りはほぼ夏道通りのルートっぽい。
ここが気になっていた場所だけれど、階段もできており、案外あっさりと通過。
ほぼ夏道に近いルートで危険に感じる場所はなかったけれど、アイゼンの重さか、標高が高くなってきたためか、足取りが重く感じる。
赤岳頂上山荘手前で振り返ると、手前から横岳、硫黄岳、東天狗岳、西天狗岳、蓼科山と一望できる。
雪山を始めてから八ヶ岳では蓼科山、天狗岳と登ってきて、今回の赤岳と登っているけど、蓼科山であれば天気が良い時に登り直したいし、硫黄岳へも登りに行きたい。
あと冬の白駒池あたりも巡りたかったり、まだまだ冬の八ヶ岳でやりたいことがたくさんある。
積雪期赤岳登頂!!
ここから行者小屋まで戻るまでが核心部なので、積雪期の赤岳に登る目標を達成したけれど、達成感をあまり感じない。
冬の八ヶ岳は風が強いイメージだけれど、今回は穏やかな春の天候に恵まれたので、厳冬期のもっと白く染まった時期に登り直しに行こう。
赤岳山頂360度写真
編笠岳、権現岳の奥には南アルプス。
中央の一段と高い山がお正月に登った北岳、次の年末年始はぜひ一番右の仙丈ケ岳で初日の出を迎えたい。
また個人的に八ヶ岳が一番きれいに見える山は南アルプスだと思うので、白峰三山、鳳凰三山あたりを縦走して眺めてほしい。
少し休憩を入れ、気を引き締め直し、文三郎尾根から下山開始。
いきなり急な下りで後ろ向きでピッケル、アイゼンで確保を取り、慎重に下っていく。
この先も前に歩いた時のイメージだと嫌な場所の連続なんだよな~
キレット分岐からの文三郎尾根へのルート
ここから核心部でアイゼン、ピッケルに加え、鎖や岩など使えるものは積極的に使って降りていく。
ここまで下りてくれば、岩と雪のミックスエリアも終わり。
ルートの大半が雪の覆われていて、思ったよりも苦労しなかったけど、一ヶ所だけアイスバーンと岩場になっているところが怖かった。
こちらから見る阿弥陀岳は山頂から左手へとギザギザと続く南稜の尾根がかっこいい。
中山より先に阿弥陀岳山頂へと至るトレースが見えるけど、かなりの傾斜…登りはいいけど、下りで恐怖を感じるパターンだ
それでも阿弥陀岳の姿は素晴らしかったので、冬の時期に挑戦してみたい。
横岳、硫黄岳と北八ヶ岳の山々。
あまりパッとしない印象だった横岳も斜めの位置から見ると岩峰がいくつも連なり、迫力のある山。
ここからは斜面をトラバースし、左下の尾根から行者小屋へと戻るルート。
岩と雪のミックス帯を抜けたといえ、まだまだ気を抜けない。
文三郎尾根の階段は雪ですべて埋まっており、アイゼンでも下りやすいことに助けられた。
文三郎尾根を下り、阿弥陀岳へのルートと合流、ここまで来れば行者小屋まで10分もかからない安全地帯で気が休まる。
行者小屋のテント場は水場が凍らず、流れていた。
厳冬期も凍らずに流れているようなら、雪から飲み水を作らなくても良くなるのは有難い。
厳冬期赤岳、阿弥陀岳に向けて、情報収集もしておこう。
行者小屋まで戻ってくれば、赤岳山荘まで2時間もかからないくらい。
ここからのアイスバーンの下りも厄介なのでアイゼンを履いたまま下山。
最後の最後で、アイゼンを脱いだ後に、盛大に滑って尻もちをついたけど、無事に下山。
17時過ぎ、約8時間ほどのコースタイムで戻ってくることができ、これでホッと一安心。
寝坊してしまったせいで、赤岳鉱泉のアイスキャンディなど見れなかったものもあるけれど、赤岳に登り、無事に下山してくるという第一目標は達成できたので、今回はこれで良し。
今回の登山の反省点は寝坊とチェーンスパイクの不携帯…、みなさんはチェーンスパイクを忘れないように注意(笑)
まとめ
今回の赤岳登山はほぼ無風という天候に恵まれ、無事に登頂することができました。
ただ登山前の降雪状況や天候状況によって、難易度がいくらでも変化する山です。
また厳冬期のこのエリアに訪れたいと考えているので、より確実な技術と判断を持って再訪できるように練習や経験を積んでいきたいものです。
また北八ヶ岳を始め、天狗岳、白駒池、硫黄岳があり、いろんなアクセス方法や日帰り、小屋泊、テント泊とスタイルを選べるエリア。
雪がシンシンと降る時期以外にも遊びに行こう。
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